ホーム > 高歌哄笑 > 平成十九年2月号「人を育てる『三不』=不便、不自由、不親切

高歌哄笑-古賀武夫エッセー-


平成十九年2月号「人を育てる『三不』=不便、不自由、不親切

皆様、明けましておめでとう御座います。今年も大いに笑って暮らして行きましょうね。

私は、子ども達の笑う顔が大好きです。タマテ箱の子供たちは、よく笑ってくれます。笑っている人間は、幸せだから笑い、笑うからますます幸せになります。幸せになるのはすごく簡単なことですよね。

さて、初代松下政経塾塾頭で上甲晃と言う方がおられます。松下幸之助の最もよき理解者であり、現在青年塾塾長として20代、30代の青年達と共に、日本と世界の未来の為、「流汗悟道」をモットーに、日本のみならず、バングラディッシュ、中国でも精一杯頑張っておられる上甲さんとは、20年近くの付き合いです。

今年1月8日、東京での「ヒトの教育の会」主催全国フォーラム(会長:井口潔先生/日本外科学会名誉会長/85才の超元気先生/「内なる心の平和」を確保するための教育運動を全国で展開中!)で、上甲さんに2年振りでお会いしました。とても66才とは思えない、益々気合充実、歯切れのよい素晴らしい講演をなさいました。

その昔、私に会いに初めて古賀英語道場を訪れになった上甲さんと、ほんの一瞬で意気投合、すぐに地球市民の会のかながわ(当時)の初代会長をお引き受け頂いたのですが、その代わりとして、私が松下政経塾のフェローシップ(言って見れば松下政経塾内大学院)の審査員に頼まれ、2、3年やらせて頂きました。

さて、所詮、英語などの外国語を含めて、知識や技術は、道具に過ぎません。上甲さんは、いつも「志」(惜し気もなく自分のものを与え、人の役に立とうとする心)が大事だと言われています。

また、自立型社会を実現するには、「不便、不自由、不親切」の3つこそが必要だと言われます。

それこそが、正に教育的である、つまり、このお陰で、「自分でものを考える」ことができ、「苦労」こそが人間を作る、と言われます。

何故ならば、人間は、与えられれば与えられるだけ不足を感じ、ますます自分がだめになって行くからなのです。

日本は、少子化が進んでいると言われていますが、実は、子どもの数が急速に増えているのです。つまり、未熟で幼稚な、子どもの「お・と・な」が急増しているのです。この国の将来は、これからしばらくは大変なものになるでしょう。

なぜならば、今の親の世代は、貧乏も精神性(宗教心)も戦乱も、つまり、人間の成長に必要なものを何も知らないからです。

その親が年をとり、その「高学歴・低人格・不徳」の親に育てられた苦労知らずの子どもたちが、又親になり、その又子どもが親となって行くのです。考えただけで、ゾッとしませんか?どこかで、この図式を変えなければなりません。

北海道家庭学校という元非行少年たちの学校があるそうです。ここでは、午前中は普通の授業がありますが、午後は自分の生活に必要なものはすべて自分で作るのだそうです。

すると、どうなると思いますか?

物を作ることの苦労がわかり、自分が汗水たらして一所懸命作った机や椅子、全ての道具を、大事に大切にする心が育つのだそうです。

私は、そういう人の気もちのわかり、世の役に立てる志を持った、「高人格・有徳」の場、学びやを作りたいのです。

今年も、皆様のご多運をご祈念申し上げながら、更なるご協力をお願いいたします。有難う御座います。

(平成19年正月吉日 古賀武夫)