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高歌哄笑-古賀武夫エッセー-


平成十四年11月号「親が変われば子が変わる」

親が変われば子が変わる
63-191-5000 小さなことで揺れてはなりません!

十一月十日から十八日までの九日間、二年半ぶりで、ミャンマー、タイ、ラオスを地球市民の会が実施する予定のプロジェクトの調査視察に行ってきました。

私は、日本と日本人であることを誇りに思っています。しかし、今回インドシナ半島を歩き回り、多くの方々と夜を日に接いで語り合い、さまざまな自然文物を見聞きして、最も強く感じたのは、私たちの普段の生活は、何と小さな世界であるか、と云うことです。この二年半で、たくさんの事を忘れかけていたのだなあと感慨無量でした。

【世界は広い、発見と感動の旅】
63-191-5000とは、世界の人口六十三億人、百九十一ヶ国、約五千の言語、ということは同数の文化、民族を示しています。そして、そのそれぞれがすべて異なった色彩と香りをもち、また、同じ、一つの国の中でも様々な生き方、社会の成り立ち、自然の姿を有っています。
私は、その点ではとても欲張りで、世界のすべてを知りたいと思って生きてきました。もちろん、すべてを知ることなどできないわけですが、今回の視察旅行だけでも、毎日が新発見、感動の旅であったことは、疑う余地がありません。目から鱗、と云っても良いかも知れません。
【実体験の大切さ】
大事なことは、私が見聞きしてきたことは、すべて現実であると云う事実です。映画やテレビ、コンピューターのバーチャルリアリティ(仮想現実=嘘)とはまったく違うのです。体内に暖かく赤い血の流れる人々の本物の生活に触れてきたという事実です。
今月に入って、最初の一週間で七回の講演、海外十日間で連日の会議、帰った翌日また講演、そして、会議、講演と色んなところで、違うテーマで、たくさんのことを語らせて頂く機会を得ました。
【感動してますか?!】
大体どこで話をしてもお聞きする質問があります。
それは、「この一ヶ月で皆さんは何回心が震えて涙を流されましたか」ということです。もし、何度もある方は、幸せな方だと思います。もし、一度もないようなことでしたら、もしかすると、心が貧困と云えるかも知れません。
実際、この質問をしてみると、一回はあると云われる方が、会場の二割ぐらい居られます。
しかし、その内容を聞いてみますと、テレビ、映画、書物等がその九割を占めていて、自分の実体験で感動して泣かれた方は、とても少ないようです。つまり、今の日本人の生活の中には、感動がないと云うことではないでしょうか。これが、我々の心のあり様を象徴しているように思えるのです。
【何のための人生か】
人を動かすものは感動でしかありません。感じるから動くのです。人も社会も、どんなに金や物を持っていても、喜怒哀楽をはっきり持ち、感動して泣き、歓んで破顔哄笑することがなければ、何のための人生でしょうか。生きている甲斐があるのでしょうか。
【外国語は語るべき物を持ち、腹で語れ】
英語道場と空手道場の標語の一つに、「語学と空手で世界に雄飛」と云うのがあります。今回はっきり解ったことは、世界に雄飛しようと思う人にとって、まず語学は絶対に欠かせないということです。それも中途半端なものでは何の役にも立ちません。日本語と同じくらい仕事に使えるものでなければなりません。
語学力のない人が地球市民の会のように海外で仕事をしようとしても、大工さんが、大工道具を忘れて現場に行くようなものです。
しかし、日本人は、英語で語れないことを、英語ができないからだと云います。それは、嘘だと思います。
英語のうまい人も、英語を語れないのです。なぜなら、語る物も持たず、相手と向き合った時に語る腹も有しないからです。
【空手=武道が”智仁勇”の腹を作る】
外国語ができなくても自分の意思を通じさせることはできます。それは、堂々と相手の目を見て、腹で語ることです。人間には、言葉を超えたコミュニケーション能力が備わっています。それを作るのが、宗教心も薄く、平和ボケの今の日本では、武道が一番でしょう。智仁勇(智慧、優しさ、強さ)を鍛錬、そして頭ではなく「体得」します。
【志・循環・畏敬・感謝・共生】
英語道場の道場訓は、「自立、協力、共生」、空手道場の方は、「つよくやさしく、やさしくつよく」です。今回の旅で、日本人に最も欠けているのは、「志」、他のため、家族、社会、国、世界のために尽くす高邁な心だとつよく感じました。また、自然と社会の循環、人間を超えた大きな存在、たとえば、大宇宙、神仏に対する恐れ、敬う気持ち、そして、生かされていること、親兄弟、先祖、周りの皆様に対する感謝の心、皆さんと共に調和と秩序の中に生きていく気持ちが大切だと感じました。
【古賀道場は、大人の学び場】
最後になりましたが、子供は変わることは比較的容易です。しかし、親、大人が変わらなければ、結局は元の木阿弥です。私たち、親が、まず一歩を踏み出しましょう。古賀道場は、お子さんを預かりながら、実はむしろ大人の学び場だと思っています。こんな変わった道場ですが、ご理解いただきご協力賜れば心より嬉しく思う次第です。
色んな会合も開いて居りますので、お忙しいとは存じますが、まだお話したことのないお父様、お母様、ぜひ、道場までおみ足をお運び頂きお顔をお見せくださいませ。

合掌九拝

(平成十四年十一月三十日 古賀武夫)